IaasからSaasへソフトランディングが進みません

人手不足でエンジニアの確保が難しい時代に突入し、自社サービスのインフラの維持も難しくなってきています。インフラエンジニアの求人案件はあるものの、優秀なエンジニアを求める企業側の要求は厳しくて、書類選考でサクッと落とされた経験があります。若いエンジニアを採用して育てるつもりなら良いのですが、若くて経験があって優秀なエンジニアが欲しいと言われても、そんな人は世に多く存在しません。誰しも最初は未経験からスタートしますし、年齢と共に経験を重ねてきているわけですから(ただし、歳をくっているから優秀とも限らず)。

まもなく今在籍している会社を去りますが、会社の経営陣には今後を見据えてIaasからSaasへのゆるやかな移行(ソフトランディング)を提案しているものの、難色と言いますか強い抵抗を示されています。今後もIaasでのサービスを提供し続けていきたい意向のようです。

【初心者向け】IaaS PaaS SaaSそれぞれの違いとVPSとの比較

https://qiita.com/kznr_luk/items/55a3ff527bd2b81a3d52

例えばIaasでサーバを月額2万円で調達、メールサービスを構築して顧客に1アカウント200円で1000ユーザに提供しているケースがあったとします。単純計算で月の売上げが20万円(200円x1000ユーザ)、月の仕入れが2万円ですから、差し引き18万円の粗利となります。
これをSaasに移行、1アカウント100円で仕入れて、顧客に1アカウント200円で1000ユーザに提供すると、単純計算で月の売上げが20万円(200円x1000ユーザ)、月の仕入れが大幅アップの10万円(100円x1000ユーザ)ですから、差し引き10万円の粗利となります。Saasでサービスを提供しようとすると、Iaasで提供していたときよりも8万円の減収となるわけですから、数字だけを見れば難色を示すのも当然といえます。

しかし、Iaasを維持していくにはスキルのあるエンジニアが必要です。エンジニアがいなくなればサービスの維持は困難になります。ぶっちゃけ平穏無事でノントラブルなときはエンジニア不在でも良いのですが、障害発生時にはエンジニアがいないと詰みます。お手上げです。ごめんなさいするしかありません。当然顧客からは逃げられます。エンジニアを雇用するのだって無料ではありません。Iaasでの粗利がそのまま純利益とはならず、人件費などのコストを差し引く必要があるわけですから、エンジニアを減らしてSaasに移行するのはコスト的に見合えば合理的判断といえる...はず。

エンジニアがいなくなってから、ハードランディングしなきゃならなくなっても知らないよ...。

企業が提供するサービス選びは慎重に(事前に情報収集をしましょう)。ユーザの皆様にはある日突然サービスの停止や提供終了などの憂い目に遭われないようお祈り申し上げます候。